親知らずを放置した場合
リスクのある親知らずは、出来るだけ早めの抜歯をお勧めします。
生えていないのに、痛くないのにどうして抜歯しなければいけないの?!
それにはいくつか理由があります。
①親知らずが虫歯の場合
虫歯の進行を放置すると、歯の頭の部分が無くなり根だけ残ります。しかも痛みは激しくなるのでいずれ抜歯が必要ですが、抜歯時に歯をつかむ部分が無くなるので、真っ直ぐ生えていた親知らずでも歯肉を剥がしたり骨を削る必要があります。早めの抜歯がお勧めです。
<右の写真>
右上の親知らずが虫歯(黒く抜けている部分)になってしまい、保存できる状態ではないため抜歯になりました。頭の部分は殆ど残っていませんでした。見づらくてごめんなさいm(T_T)m
②親知らず周囲の歯肉が腫れている場合
智歯周囲炎の放置時には、親知らず周囲の骨が溶けて無くなり、その過程で歯肉が腫れたり引いたりの繰り返しとなり、波は徐々に大きくなります。
さらに上顎では蓄膿症や上顎洞炎、下顎では骨髄炎による片側麻痺等が起こり、長期に渡って治療が必要となる事があります。特に骨髄炎は痛みや痺れが残ります。
親知らず周囲の炎症は通常一時的にには処方薬で治まりますが、何度も長期に服用した場合、腎臓や肝臓、胃などの臓器を痛めてしまいます。原因を除去し、服用しなくて済む環境をつくる事が先決といえます。
特に強い痛みは麻酔が効きにくいので、処方して炎症が治まるのを待ってからでないと処置ができません。症状が出たら痛みが始まり次第、早期の抜歯をお勧めします。
④埋伏している親知らずの場合
埋伏(歯肉を被っている状態)で手前に傾いている親知らずは出てこようとするので、手前の歯(第二大臼歯・7番目)を押し出してしまい、咬んだ時に7番目の歯だけが強く当たり、痛みが出る場合があります(右の写真、赤い矢印)。咬んで痛いのは見えている7番目の歯ということで咬み合わせの調整を行いますが、しばらくするとさらに7番目の歯が出てきて同じ症状になります。これを繰り返すと歯がぐらついてきたり、凍みやすくなります。こうした場合、原因である親知らずの抜歯を優先すべきです。
親知らずが横を向いて埋まっていたりすると、抜歯をする時に歯肉を剥がして骨を削ったりする場合があります。年齢を重ねて代謝が落ちてから抜歯を行うと骨が硬かったり治癒が遅かったりと不都合な事が多くなります。また、高血圧や糖尿病などの全身疾患が増える可能性もあり、骨が柔らかく治りが早い若いうちの抜歯をお勧めします。
ちなみに親知らずは生える方と生えない方がいらっしゃいます。真っ直ぐ生えてしっかり咬んできちんと清掃出来れば抜歯の必要はありませんが、現代人には極少数派といえます。